全国水産技術協会

沿岸域の豊かな漁業生産の維持に関する報告書

 これまでわが国では、貧酸素水塊や赤潮の発生を閉鎖性海域特有の富栄養化現象ととらえ、化学的酸素要求量、総窒素、総リンの環境基準を定め、その達成のために陸域における水質総量削減が実施されてきました。しかし、赤潮、貧酸素水塊の発生は依然として継続し、逆に栄養塩類の不足によるノリの色落ちをはじめとして、漁業生産全体の減少が顕在化し「豊かな海」が失われつつあることが危惧されています。
 そこで当協会は、平成26年10月に貧酸素化や栄養塩と漁業生産との関係に詳しい専門家による「沿岸域の豊かな漁業生産の維持に関する研究推進委員会」を組織し、我が国の沿岸漁業を持続的に発展させるとの観点から種々検討して参りました。 この間、平成27年12月に「きれいな海」に加えて「豊かな海」の実現を目的として「沿岸域の豊かな漁業生産の維持に関する緊急提言」として公表し、緊急提言の考え方をもとに、さらに漁業や水質にかかる各種のデータや文献を参考に漁場環境の問題点の分析や今後の改善策を検討し、沿岸域の豊かな漁業生産を維持するための提言として報告書を取り纏めました。